大日如来は、宇宙の実相を仏格化した根本仏として最高の尊格をもち、森羅万象一切を支え、あらゆるもの全てをお救いくださいます。不動明王像の説明でも記しておりますように、この世のすべての如来、菩薩、明王などの仏様は、大日如来の様々な徳を表すために化身したお姿です。密教では、大日如来の無限の慈悲を表す胎蔵界と大日如来の偉大な智徳を表す金剛界の二つの世界があります。
瑞応寺の「大日如来坐像」は、胸の前で「智拳印」を結び、右足を上にして結跏趺坐(けっかふざ)する金剛界の大日如来です。ふっくらとした御尊顔は、温和でありながらも厳しさを兼ね備えた理知的なお顔立ちで、額には水晶の白毫(びゃくごう)がはめ込まれ、髪をかなり高く束ねて宝冠をいただく、仏身五尺の等身坐像です。
本像の素材は、数年前からこの大日如来を彫るためにじっくりと寝かせた天然木曾檜を使用、台座は、豪華な八段構成の蓮華座で、蓮華部分は、六方六段の葺寄せ式です。框は小さめとなっておりますが、全体に極上の檜をとても贅沢に木取りして、泥沼に蓮華が花開く様を見事に表しています。表面の仕上げは、聖観音菩薩立像、不動明王坐像と同じく、渋めの古色彩色を用い、胎内には、経典が納められています。
◆作者:佛師清(村上清)
◆材質:天然木曽檜・漆・天然顔料・金・銅・水晶
◆像高:100cm ◆総高:195cm