平成十九年の春、いじめや幼児虐待などの「子どもに関わる悲しい出来事」が頻発する世相を憂い、世界中の母と子の幸せを願って、瑞応寺の境内に「慈母観音立像」が落慶しました。すべての母が我が子を慈しむような深い祈りによって、全世界に平和が訪れることを願ってやみません。
聖観音菩薩立像のところでも御紹介したように、観音菩薩は衆生の願いに応じて様々に姿を変えて、その願いを叶えてくださる仏様です。近頃の世相を見渡してみると、子どもに対する様々な悲しい事件が後を絶ちません。そうした世の中に、「母の如き優しさと慈愛をもって、世界中のすべての母と子に平安な日々を」という中島剣山住職夫妻の願いを込めて建立されたのが、瑞応寺の「慈母観音立像」です。「母の愛に育まれてこそ今の自分があることを、すべての人に改めて思い出して欲しい」というメッセージを、できるだけ多くの方々に感じていただきたいという思いから、門を入って正面、境内の一番目立つ場所に建立されました。そのデザインはすべてオリジナルで、この御姿の慈母観音立像は日本にひとつしかありません。慈愛の秘めた眼差しと気品漂う御尊顔、堂々とした立ち姿は、「慈母」と呼ぶにふさわしい温かさに包まれ、その腕に抱かれ、あるいはその足元で安心して遊び戯れる幼子たちと共に、「母と子の平穏で幸せな家庭の姿」を表しています。瑞応寺を訪れる子どもたちが慈母観音に向って自然に手を合わせるのも、そこに込められた「慈母の願い」を感じているからに違いありません。
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