皆様の篤い信仰と多大なご協力により、平成十五年春、瑞応寺伝説の夕顔姫の御姿を写した「聖観音菩薩立像」(通称:夕顔観音)が完成し、瑞応寺の本尊として安置されました。今後とも、夕顔観音の深い慈悲に包まれながら、皆様が平安で幸せな毎日を送られることを心より願っております。
観音菩薩は時に応じて様々な形に変化し、深い慈愛の心をもって衆生の願いを叶えると言われています。瑞応寺の「聖観音菩薩立像」は、平安時代に多用された古典技法である「一木造り」を基本として、両腕や天衣などの部分には寄木の技法を取り入れた佛像で、佛師・村上清渾身の力作です。素材には天然の木曽檜を用いて、表面の仕上げには古色(こしょく)という技法を使って、長い年月を経た古佛の趣を醸し出しています。御尊顔は髷を単髷として、両側面に夕顔の花を表し、額には仏の証である白毫(びゃくごう)を表す水晶が埋め込まれています。本像は瑞応寺の起源となった夕顔姫が、聖観音菩薩となってこの地に降り立った姿を具現化していますが、その慈愛に満ちた御尊顔、流麗な天衣、重厚な蓮華座など、全体が格調高く荘厳な雰囲気に包まれ、在りし日の夕顔姫の美しさ、気高さを見事に現代に甦らせています。また、頭部と体幹部は空洞になっており、胎内には経典などが納められています。
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